新町建設計画 (案) 6P
第3章  住民の意向調査

1.調査の目的

本調査は、大飯町・名田庄村の住民の皆さんの、町または村に対する思い、合併に対する期待や不安、「新しいまち」に望むことなどについて把握し、新町建設計画に反映させるために実施しました。

2.調査の方法

(1)調査方法
大飯町・名田庄村に居住する中学生以上の住民を対象に実施しました。

(2)調査期間
○ アンケートの配付・回収       平成16年10月21日〜10月31日
○ アンケート集計・分析   平成16年11月 1 日〜11月25日

3.回収率

配付数

回収数

回収率

8,029

3,369

42.0%


4.調査結果の総括
本章では、調査から得られた主な傾向と考察の結果を整理します。

(1)現在住んでいる地域への満足度について
現在住んでいる地域で全世代を通して満足度が高い項目は「山、川、海などの自然の豊かさ」がトップで4.24ポイント、次いで「CATV、インターネットなどの情報通信環境」2.56ポイント、「町または村の環境の清潔さや景観の美しさ」2.35ポイントの順となっています。
一方、ポイントの低い項目は、「働く場所の豊富さ」-5.17ポイント、「交通機関の便利さ(鉄道やバス)」-4.07ポイントなどがあげられます。

 施策系列別の満足度について
施策系列別に満足している内容を比較すると、「コミュニティ系」「教育文化系」に満足している傾向が最も高く、「生活基盤系」への満足度がこれに次ぐ形となっています。一方「産業振興系」に対する満足度が最も低くなっています。
居住地別に満足度を比較すると、大飯町では、「コミュニティ系」、「生活基盤系」の順になっているのに対し、名田庄村では「保健福祉系」、「教育文化系」の順になっています。
また、年代別にみると、10代、30代、70歳代以上では、「コミュニティ系」、20代、40代では「教育文化系」、50代、60代では「保健福祉系」に最も高い満足度を示しており、年代による相違がみられます。

 両町村への居住歴別の満足度について
施策系列別の満足度を居住経験に比較すると、「生まれてからずっと住んでいる」、「一時的に転出したことがある」、「嶺南地域の他の市町村から転入してきた」においては、「教育文化系」への満足度が最も高くなっています。一方、「嶺北地域の市町村から転入してきた」、「県外から転入してきた」では「コミュニティ系」への満足度が最も高くなっています。

(2)住民の生活観について
住民の生活観について、その傾向を次のとおり考察しました。
心の豊かさとゆとりを大切にし、家族と過ごす時間を重視しています。
また、世間の目を気にする面がありますが、流行に敏感でおしゃれを楽しみ、高くても良いものを購入する傾向もあります。
さらに、地域の問題等に対して積極的に取り組んでいこうとする傾向が強く伺えます。
こうした結果から、「量」よりも「質」を求める志向が高く、ものの本質を見極めようとする、いわゆる「成熟型の社会」の価値観が形成されていると考えられます。より充実した地域社会づくりに向けた仕組みや施策が求められます。

(3)合併による効果について
合併の効果については、「広域的な視点からまちづくりを進めることができる」(53.9%)をあげる回答者が最も多く、「新しいふれあいや交流が生まれ、まちが活性化する」(39.1%)、「両町村の豊かな自然や歴史、文化を活かした、魅力あるまちづくりが期待できる」(38.8%)、「役場の職員数や議員数の適正化などにより、行財政運営の効率化が図れる」(27.7%)の順になっています。
男女別、居住地別でみても、「広域的な視点からまちづくりを進めることができる」をあげる回答者が最も多く、次いで「新しいふれあいや交流が生まれ、まちが活性化する」または「両町村の豊かな自然や歴史、文化を活かした、魅力あるまちづくりが期待できる」の順となっています。
年代別でみると、10代は「新しいふれあいや交流が生まれ、まちが活性化する」が最も多く、20代以上は「広域的な視点からまちづくりを進めることができる」をあげる回答者が最も多くなっています。

(4)合併に対する心配について
合併に対する心配については、「住民の意見が行政に届きにくくなるのではないか」(35.4%)をあげる回答者が最も多く、「公共料金などが高くなり、住民の負担が大きくなるのではないか」(34.0%)、「きめ細かな行政サービスが受けられなくなるのではないか」(32.5%)、「一部の地域だけが発展するといった地域格差が生じるのではないか」(31.6%)の順になっています。
性別でみると、どちらも「住民の意見が行政に届きにくくなるのではないか」が最も多くなっています。
また、年代別にみると10代、20代、30代は「公共料金などが高くなり、住民の負担が大きくなるのではないか」が最も多くなっているのに対し、40代、50代、60代は「住民の意見が行政に届きにくくなるのではないか」、70歳以上は「役場が遠くなり、不便になるのではないか」が最も多くなっており、年代ごとに違いがみられます。
居住地別では、大飯町は「公共料金などが高くなり、住民の負担が大きくなるのではないか」が最も多くなっていますが、名田庄村では「住民の意見が行政に届きにくくなるのではないか」が最も多くなっています。

(5)合併後のまちづくりについて
合併後のまちづくりについて、全世代を通して期待度が高い項目は「保健・医療などの健康サービスの充実」がトップで7.71ポイント、「働く場の拡大」が7.68ポイントの順となっていますが、「10代」に関してはそれぞれ4.56ポイント、5.20ポイントで他の年代と差が見られます。また、「70歳以上」の回答者は約7割の項目に関して強く希望しています。
一方、若い年代層が強く希望している項目は「携帯電話不感地域の解消」、「公共交通機関(鉄道・バス)の利便性向上」などとなっています。

■ 施策系列別の期待度について

施策系列別に希望する内容を比較すると、「保健福祉系」を希望する傾向が最も高く、「生活基盤系」への期待度がこれに次ぐ形となっており、「教育文化系」に対する期待度は最も低くなっています。
居住地別に比較すると、両町村ともに「保健福祉系」への期待度が最も高くなっています。
また、年代別にみると、10代を除く年代では、「保健福祉系」への期待度が高く、10代では「生活基盤系」が最も高い期待度を示しています。
居住経験別では、大きな違いはなく、すべて「保健福祉系」への期待が一番高くなっています。

施策系列と設問の分類

保健福祉系

子育て環境の充実、保健・医療などの健康サービスの充実、高齢者や障害者などの福祉サービスの充実

生活基盤系

公害防止やリサイクルの推進など環境保全対策の強化、水資源の確保対策、街並や集落などの景観保全や整備、インターネット・CATVなど情報通信基盤を活用したまちづくりの推進、携帯電話不感地域の解消、消防・防災・防犯体制の充実、舞鶴若狭自動車道の全線開通、両町村や周辺地域を連絡する幹線道路の整備、公共交通機関(鉄道・バス)の利便性向上

産業振興系

働く場の拡大、農林水産業の振興、特産品の開発や販売ルートの拡大、工業の振興(企業の誘致など)、商業の振興(魅力ある商店街づくりや買い物の利便性の向上など)、観光資源の活用や施設の充実による観光客の拡大、農林漁業などの体験を通じた地域内外の交流事業の推進

教育文化系

小学校、中学校の施設や教育内容・通学環境の充実、歴史・文化遺産の保全と活用、スポーツ・健康増進施設の整備充実と健康まちづくりの推進、生涯学習(文化)施設の整備充実と生涯学習の盛んなまちづくりの推進、男女共同参画社会づくりの推進、ボランティア活動などへの支援、国際交流や地域間交流の促進

コミュニティ系

住民主体のまちづくりの推進、若者が住みやすい地域づくりの推進、両町村が一体化するための交流事業の推進、住宅や住環境の整備、公園や広場の整備


(6)合併後も大切にしたいものなどについて
両町村の住民が合併後も大切にしたいもの、愛着や誇りを持てるもの、残したいものについて、次のとおり整理しました。
コメントが多かったのは、「自然環境」に対するものでした。特に、豊かで美しい環境を維持保全するだけでなく、治山治水のバランスに配慮することについても指摘がありました。
幅広くコメントされたのは「人・心・つながり」に対するもので、隣の人を気遣う優しい気質と豊かな人間性について残していきたいとするものが多くありました。

項 目

愛着や誇りを持てるもの・残したいもの

自然環境

・豊かで美しい自然環境       ・山、森、川、海

・自然に根ざした暮らし

人・心・つながり

・隣の人を気遣う優しい気質   ・都市部にない人とのつながり

・田舎の豊かな心             ・地域(地区)の連帯感

・温かい人の笑顔             ・人情あふれる人間性

・郷土を愛する心             ・ボランティア精神

・家族        

・子どもたちが素直な心を持てる環境と教育の場

・子どもたちの素直な情熱とやり遂げたときの喜びの笑顔

芸能・行事

・伝統的な芸能               ・地域の祭りやイベント

歴史・文化

・地域に残る伝統や文化       ・地域の歴史

・文化財

その他

・特産物                     ・地域の名称

・地域の個性                 ・顔の見える行政

・住民主体の自治

・県内外から見て自慢し誇りの持てるまちづくり


              ←戻る 次へ→